江國香織「きらきらひかる」(1991)の新潮文庫版(平成11年第18刷)が友人の本棚にあったので読みだした。
情緒不安定で鬱病でアル中のイタリア語翻訳業の妻と、若い恋人もいる同性愛者の夫という夫婦の話。
LGBT、鬱病、アル中、セッ●スレス、不妊治療という、それまで日本社会があまり目を向けていなかったテーマを同時に取り上げてる。
この小説は1992年にフジテレビによって薬師丸ひろ子、豊川悦司、筒井道隆のキャストで映画化されている。発表と同時に映画化の話も進んだらしい。
1991年というと湾岸戦争とソ連消滅の年。この頃から旧体制の規範を持った人々が社会の中心から去り始めた。
日本社会も同性愛者への眼差しも変化を始めた。今ではLGBTという言葉もあるけど、この本が出版された当時は「ホモ」という言葉で通してる。他に言葉がなかったので致し方ない。
鬱病はここ10年ぐらいの間に社会の理解がだいぶ進んだように思う。小説、映画、ドラマ化されると社会への影響力が大きい。
誰も悪人は出てこないのだが、やはり両家の家族会議的なことになると結婚って面倒だなって思う。
小説として面白かったか?自分にとって江國香織は3冊目だったのだが、やっぱりどれも自分とそれほど合ってないw 会話と心の声主体の文体やらテンポやら言葉のチョイスやら。やはり時代のせいかライトな感じ。
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