CODE OF THE LIFEMAKER by James Patrick Hogan 1983紀元前110万年前の太古の昔、太陽系から1000光年の彼方の恒星系にあった文明(超新星爆発で消滅)が派遣した自動航行自動探査宇宙船はなぜか太陽系の片隅にある惑星の衛星タイタンにたどり着いた。
自己増殖し工場を建設し母星に資源と工業製品を送り出すはずだったのだが、データ転送でミス、コピーの過程でエラー、男女一組で別個体が誕生するようにデータの欠損部分を補い合って1個体が誕生するようになり、資源確保のため工場を食うなどして100万年繰り返し、自意識と知能を持ったロボットたちは厚いメタンの大気の底でやっと中世王国社会のような文明を築いていた。
中世イタリアのように狭い場所で小さな国同士が争っていた。しかも自分たち機械人間を創造したライフメーカーを神と崇める宗教までも。
最初のほうに書かれてる前段の段階でいろいろハードすぎてあまり上手く説明できないw
やはりジェイムズ・P・ホーガンだ。
地球の宇宙機構は宇宙船オリオン号に、多くの科学者たちのなかに、なぜかインチキ霊能力者(地球では大スター)を乗り込ませる。なんでこいつをリストに入れた?ですったもんだする。
「お前らのやってることはまるっとお見通しだ!」という心理学と奇術に長けた人物も載せる。まるで「TRICK」で見た面々。
異文明ファーストコンタクト型SFと言えるのだが、この場合、進んだ文明の残したロボットが相手で、地球の側が圧倒的に科学技術で進んでいる。
厚いメタンのガスの雲に覆われたタイタンで文明を築いたタロイド人は、天体が丸いことも雲の上に星があることも知らなかった。機械の馬に乗って、かろうじて火薬のようなものを使った武器で戦う。
地球人の側が神のようになる。それ、新鮮。こういうの「ドラえもん」で見たかもしれない。
機械タロイド人と、有機化合物地球人がファーストコンタクト。ホーガンの想像力は機械の側からも未知との遭遇を描く。
タロイド人は地球人の顔を見て激しい嫌悪感!w 「え、ゼリーでできてんの?」
この船がまるで大航海時代の植民船。このロボットたちを奴隷として働かせれば地球は豊かになる!
まるで幕末日本の欧米列強のごとく、敵対する勢力双方に武器を売り込んだりする。
カンの鋭い主人公の霊能力者はそんな政治家たちを憎む。機械でできてるけど、タロイド人は知性を持った人間と同じだ!
この本もホーガンの空想社会科学SFだと言える。
「星を継ぐもの」3部作を読んでて感じたように、ホーガンの著作には文明と科学の進歩を停滞させ進歩発展のペースを調整し暗躍、富を自己に集中させる資本家への嫌悪感がにじみ出てる。
この本、読んでいて面白かったのだが、やはりキリスト教世界の人が書いたSFだ。そうなるか?とツッコみたくなった。
この本には「造物主(ライフメーカー)の選択」(創元SF文庫)という続編がある。いずれ読みたいと思う。
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