この作品は昭和48年の発表時から現在まで、過去数回改訂され別タイトルで出版されたりしたらしい。創元推理文庫から2004年にこのタイトルで出版されたときにちょっと話題になったらしく、今ではBO100円棚でよく見かける。そんなによく読まれているなら読んでみようか。
THE PLAGIARIZED FUGUE by Sin Nkamachi 1973,2004という英語タイトルまでつけられている。
7月7日夜7時に赤羽のアパートで坂井正夫という売れない作家が青酸カリを飲んで自殺。
坂井と面識のあったライター津久見と、女性編集者の中田がそれぞれの視点で、まったく接点を持たないまま「こいつが犯人じゃね?」と当てずっぽうでアリバイ調査。
この本には稲付とか岩淵とか、赤羽に住んだことがある人じゃないと知らないような地名が出てくる。
この本の3分の2までが鉄道、空路のアリバイ崩し調査。西村京太郎のようだが刑事は一切出てこない。警察はまったく出てこない庶民目線。
フィルムカメラに写った時計だったり、宇都宮へ電話をしたとき本人が出たというのは親子電話ではなかったか?とか、新幹線に食堂車があったりと、いろいろと時代を感じる。日本の古いミステリーはそういうところが気にかかる。
ラスト3分の1を読んで、読者が当然にそうだと思い込んでいたことがそうでなかった!という事が分かる。ジャンル的には叙述トリックってやつ。
この本のキモはそれのみなのだが、この本の記述が複雑なプロットをわかりやすく提示してくれない。とにかくわかりにくいので、肝心の仕掛けが稲妻のように鮮やかにばばば~んと衝撃となって目にとびこんでこない。なんとなく、ああじゃね?こういうこと?と、ぐだぐだジワジワと理解していく感じ…。
ぶっちゃけ自分にはそれほど新鮮さも驚きもなかった…。すまん。
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