畠中恵「若様組まいる」(2010)の講談社文庫版(2013年第1刷)がそこにあったので買っておいた。100円。
自分、時代小説というやつをほとんど読まないので畠中恵という人気作家の本も今まで1冊も読んだことがなかった。たまには流行作家の本でも読むとするか。
明治20年ともなると世の中すっかり安定し、時代が時代なら若様と呼ばれていた旗本の子息たちは自分たちの将来に不安を抱いている。
それほど職業に選択肢がない中から巡査への道を選び、試験を受けて愛宕での教習所生活へ。自由もプライバシーもない教習所で日々落第のプレッシャーと闘い、詰め込み教育と鍛錬の日々。そして騒動。
この時代は士族と平民、官軍側と賊軍側、江戸に残り明治政府に仕官した旗本と静岡に移った旗本、それぞれが心にしこりのようなものを持ったままいがみ合い。
この本がとても読みやすい。明治20年というとほぼ江戸時代なのだが登場する若者たちが現代的。読んでる最中は明治にいるということを忘れてしまうかもしれない。たぶんキャラに萌えるタイプの時代小説。
女性作家なので内容が爽やか。かつての時代小説の巨匠たちのような時代がかったギスギスした脂っこいエロなんかは一切ない。恋文のやりとりなんかがあるぐらい。女子中高生向け。
若者たちが選択肢が他になくだいたい想像できてしまう未来にため息をつく場面とか、明治も今もたいしてかわってないと思った。ブルーになるので自分はこの本にそれほどハマれなかった。
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