2018年6月28日木曜日

綾辻行人「水車館の殺人」(1988)

綾辻行人「水車館の殺人」の1992年講談社文庫版を手に入れた。100円。
「時計館の殺人」が雰囲気があって面白かったので、2冊目の綾辻行人。

やっぱりこれも嵐の夜の洋館クローズドサークルミステリー。ゴム仮面車いすの主人、岡山県警とか、あきらかに横溝正史「犬神家の一族」リスペクト。
山奥の洋館とか、執事とか、幽閉された美少女とか、いつの時代だよ!という、社会派リアリズムヒューマン刑事ドラマとかクソくらえ!な、雰囲気と面白いストーリー展開重視の娯楽作!いかにもカーオタが書いた力作という感じ。

女中が塔から転落し水路を流れ、死焼却炉からバラバラ死体が!そして、そばに左手薬指が落ちていた!
1年後に島田探偵が屋敷そのものへの関心から興味本位で調査。

絵画が紛失し宿泊していた僧侶が失踪するトリックのおぞましさはカーの某有名短編を思わせた。
詳しい間取り図がありがたい。登場人物たちと一緒に洋館内部をぐるぐる歩いてる気分になれる。

現在(1986)と過去(1985)を行ったり来たりするのはわかりずらくて困惑した。さらに12年前の交通事故の件もある。
だがそれでもやっぱり、パズルのピースがピタッとはまっていくラストは興奮の面白さ。

自分、この水車館が時計館に続いて綾辻作品2作目だが、時計よりもこちらの水車のほうが面白かった。今後しばらく綾辻作品を探し歩かないといけないな。

この作品も新装版が出ている。できることなら新装版で読むほうがいいかもしれない。新装版の表紙イラストの洋館が自分が頭の中でイメージしていたそのものだった。

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