今回手に入れたものは1958年の大久保康雄訳の新潮文庫版の平成21年の第67刷。
(実は「Yの悲劇」だけ買うつもりだったのだが、これも同時に見つけたので一緒に買った。いずれYについての感想も書く。)
実は自分は12歳のときにこの本を持っていて読んでいた。しかも当時読んだ版と同じ新潮文庫。とうの昔にどこかに逝ってしまった。
12歳の中学1年生に1930年代のニューヨークの情景などまったく想像できたはずがない。きっと今読み返せば当時はわからなかったものがわかるようになっているだろうと読み返した。
やっぱりまったく何も覚えていなかったw
電車の中で証券仲買人が殺害される。子どもだった自分はその職業すら正しくイメージできてなっただろう。
唯一覚えていたことは凶器となった毒針コルク球。これは子供ながらインパクトがあった。
読んだ当時は地下鉄みたいなものをイメージしていたけど、どうやら札幌の路面を走る市電のようなものだったっぽいw
今でもニューヨーク近郊の地理関係がまったくわからずイメージしにくい。
そして、このシリーズのみにしか登場しないシェイクスピアの名俳優だったドルリー・レーン老人。明晰な頭脳とガッチリ論理で謎を解く素人探偵。警部と地方検事がこの人を頼る。
レーン老人が着ている「インヴァネス」がなんだかわからず今回初めて調べてみた。ああ、そんなコートを着ている人は映画でたまに見るな。
戦前のアメリカ警察が予想以上に市民に対して高圧的。人権ってごく最近になってできた概念だったんだな。
古典的名作らしい作風だった。真犯人はまったく予想外で、終盤になって急展開する。作品として論理と構造がしっかりしていて満足度が高い。
エラリー・クイーン作品はもう日本以外の海外ではほとんど読まれていないと聞いたが、この「Xの悲劇」はまだ価値を失っていないように思う。
だが、この版の日本語訳はさすがに古さを感じざるを得なかった。今の老人世代も使わないのでは?というようなヘンテコ表現がいくつか気になった。
「下袴」とか「手提灯」とか「天祐神助」とか当時は適当な訳語がなかったっぽい。
刑事同士の会話がまるで岡っ引きw
それに「誰が落ちた?」との質問に答える渡し船の船員が「知らねえでがす」w
今回読んでみたことで長年自分の脳の奥底を覆っていた霞がさーっと消え去った。
だが、やっぱりこの作家の書く本は無駄に長いw もっとコンパクトにまとめてくれ。
古典的名作らしい作風だった。真犯人はまったく予想外で、終盤になって急展開する。作品として論理と構造がしっかりしていて満足度が高い。
エラリー・クイーン作品はもう日本以外の海外ではほとんど読まれていないと聞いたが、この「Xの悲劇」はまだ価値を失っていないように思う。
だが、この版の日本語訳はさすがに古さを感じざるを得なかった。今の老人世代も使わないのでは?というようなヘンテコ表現がいくつか気になった。
「下袴」とか「手提灯」とか「天祐神助」とか当時は適当な訳語がなかったっぽい。
刑事同士の会話がまるで岡っ引きw
それに「誰が落ちた?」との質問に答える渡し船の船員が「知らねえでがす」w
今回読んでみたことで長年自分の脳の奥底を覆っていた霞がさーっと消え去った。
だが、やっぱりこの作家の書く本は無駄に長いw もっとコンパクトにまとめてくれ。
新潮社の文庫は新訳でない限り版を重ねている本ほど訳が古いです。その古さがいい場合もあるし、おかげで他社より安価です。まあミステリーは新訳の方がいいけど。
返信削除ブロガーさんのEQも4冊目。いままでは自分の好みで好き勝手にえらそうにコメントしていましたが、的外れだったら無責任なので、NETを検索してみました。Ellery Queen Fan Club - So-netというブログにはEQの長編39冊のファンクラブ会員によるランキングが載っています。そこでは「Xの悲劇」は2番です。ただし、わたしの持っている「エラリークイーン パーフェクトガイド」(ぶんか社文庫2005年刊)と結果内容が全く同じなので、最近実施されたランキングではなさそうです。
2015年刊行のハヤカワ文庫「海外ミステリ ハンドブック」には、100冊の中にクイーンの「災厄の町」が取り上げられています。
更に2016年刊行の文春文庫「東西ミステリーベスト100」では、国外ベスト100に、1位のクリスティ「そして誰もいなくなった」に続いて「Yの悲劇」が2位、「Xの悲劇」は14位、以下23位「ギリシャ棺の謎」、42位に「エジプト十字架の謎」、78位「九尾の猫」、90位「災厄の町」となっています。
海外では発表時点から「X」の評価が高かったけれど、日本では「Y」が評価されているようです。ちなみに1985年版の「東西ミステリーベスト100」では、「Y」が1位、「X」は27位でした。
ご参考までに。日本は、1位「獄門島」2位「虚無への供物」(中井英夫)3位「占星術殺人事件」(島田荘司)です。1985年では3位が違っていて「点と線」(松本清張)でした。
5冊目は「Y」ですかね。
新訳が出るってなかなか大変なことなんですね。それにしても版を重ねすぎ。ま、自分は明治大正の本でも読むので、古くても安いほうがいいです。
返信削除先日、角川版「スペイン岬」を見つけたんですが、500円ぐらいしたのでやめましたw
次は九尾猫か災厄町にしようかなって思ってたのですが、意外にランキングが低いですね。
日本ランキングは「獄門島」しかわからない…。
「点と線」は中2のとき読んだことあります。今は飛行機が当たり前の時代だから、それほど面白いと思わなかった。
YUI新宮巡礼に行ったとき、小説の舞台になっていた香椎駅と西鉄香椎駅を歩いて、ちょっと感動しました。