以前からこの本を読もうと思っていた。横溝正史が画期的名探偵ヒーロー金田一耕助を初めて登場させた「本陣殺人事件」(昭和21年)を読む。
今回手に入れたのは昭和48年角川文庫の平成19年改訂22版。
実は自分はこの本を中学生のとき読んでいた。あの独特のイラスト表紙のやつ。夢遊病猫娘・鈴子(?)のやつ。
読んだ当時は自分の読解力のなさと、昭和12年の中国地方の田舎の風景と、本陣屋敷ってやつがまったくイメージできていなかったはずなので、大人になった今、改めて読み直した。
え?金田一さんってアメリカのカレッジを卒業してんの?!じゃあ英語できるはず。麻薬中毒だったって?!ステッキ持ってる?初めて知った設定。いろいろびっくり。
読んだ当時も「?」だったけど、今回読んでみてやっぱり各ピースがそれほどピタッとはまっていない気がする。闖入者、雪など偶発的事例に対して、そう行動する?って、もやもやする。申し訳ないがそれほど面白さを感じなかった。
それに日本刀、琴、屏風といった密室トリックが読んでもなんとなくしかイメージできない。できれば映像で見たい。それに、現代から見ると動機が「え、そんな理由?バカなの?」って思うw ある意味ドルオタ。小金井アイドル死傷事件と変わらない。昔も今も男はこんな理由で女を殺す。
木製の雨戸の仕組みがわからず読んでいて困った。やはり見たことないものをイメージするのは難しい。あと、この本を読んで「刀自」という言葉を初めて覚えた。
次に「車井戸はなぜ軋る」(昭和24年)を読む。
読んでいて日本の田舎の暗さに気が滅入るw 明治維新で隆盛する家、没落する家。ずっとその土地にへばりついて数世代。宿痾のごとき家の恨み。あー、こんなのやだやだ。
双子のようにそっくりな二人とか、出征する前に押した手形とか、ちょっと「犬神家の一族」に似た要素が登場。この作品のほうが「本陣」よりも面白かった。
乱歩も横溝も、親は同じでも貧しい暮らしで育つと顔も心も荒んでる…って、あたりまえのように同じパターンw 酷い決めつけw
この作品では金田一さんは手紙を読むだけの人w 謎を解くのは病弱17歳ヒロイン鶴代。あしゅ主演でドラマ化希望。
最後に「黒猫亭事件」(昭和22年)
名前はかわいらしいが、陰惨。顔が判別できない全裸腐乱死体が掘り返される場面からスタート。
黒い毒婦の話。金田一さんの調査で判明した過去と一人二役。作者からの挑戦的なメッセージ。なかなかの力作だと感じた。
昭和20年代は人々の心が荒んでいて暗い陰惨な殺人事件が多かった。事件のあらましを語りながら「はっはっは」と笑えるその神経w 金田一さんがまるで噺家w
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