石原さとみの出演作リストに「BUNGO ~ささやかな欲望~見つめられる淑女たち」(2012)という短編映画がある。DVDになっているのでやっと見た。いちおう2012年の劇場公開作ということになってる。
1本目は宮沢賢治「注文の多い料理店」の映像化作品なのだが、宮沢賢治が嫌悪した都会のブルジョア糞ハンター野郎2人を、石原さとみと宮迫博之の不倫カップルに置き換えている。
物語の前半が、なるべくいい条件を引き出してもう別れたい…という男女の駆け引きをメインに描いている。え、そんなの宮沢賢治はいっさいタッチしてないぞ。しかも、なんと昭和40年代に舞台を置き換えている。
「鬼畜企業だってw」「訴訟になるわね」「ベトナムの枯葉剤に比べればわれわれのやってることはマシ」「下請けが金で解決するし」「オレ、ただの専務で婿養子だから関係ねーしw」
この二人は大会社の専務(社長令嬢の夫)と受付嬢の愛人。
農学校の清廉潔白教師だった賢治からするとひたすら嫌悪感しかない会話を続けるw
どうやら高度計再成長期の公害問題のことを言ってるらしい。
日本人なら誰でも知ってるこの物語の結末、ダリオ・アルジェント的なグロホラーにもできたのだが、ここは子供でも見れる常識的な映像化。しかもミュージカル調?w
宮迫は半裸になっていくのだが、石原は服を着たままw ま、そりゃそうだ。
宮迫が石原のナマ脚のふくらはぎを素手でマッサージしながら洗うシーンがある。石原さとみファンなら殺意を覚えるはずw
男から取れるものは取って別れたい本心の愛人役の石原さとみがすごくハマっている。一瞬見せる小悪魔の微笑みが石原の必殺技。すばらしいわ~。石原さとみが好きな人はぜひ見るべき。
あと、三浦哲郎「乳房」、永井荷風「人妻」という作品も収録されている。このBUNGOというシリーズは「告白する紳士たち」のほうも見たのだが、こちらの「見つめられる淑女たち」は「日常エロス」がテーマだったっぽい。
水崎綾女主演の三浦哲郎「乳房」、そんな作品はまったく知らない。「注文の多い料理店」の改変ぶりから判断すると、どれだけ原作に忠実なのか不明。
夫が出征した若い人妻理髪師と、乳房が気になる思春期少年の、日常そこにあるエロスがテーマの作品のようだ。
水崎綾女は「吉祥天女」にクラスメート役で出てたことしか知らない。かなり艶っぽいお色気シーンがある。わりと純文学の香りのする格調高い作風だったように思えた。
谷村美月&大西信満主演の永井荷風作「人妻」。こちらも本当にそんな原作があるのか調べてもよくわからない。
住宅難という事情によって、若い人妻のいる家に同居する男が主人公。画面を注意してみているとどうやら昭和20年代らしいとわかってくる。
中年男の妄想人妻エロスがかなり下品でヤバい。もう一人の自分との対話と妄想シーンで繋いでいく。
自分はまだ1作たりとも永井荷風は読んだことがない。自分はこの作家に対して変態イメージを持っている。永井荷風は中高生に読ませていい作品かどうか?自分にはわからない。
10代の女の子に読ませたくない。おっさんは日常的にこんなヤバい妄想と葛藤をしてると思われる。
主演は谷村美月なので、直接的にそういうシーンはない。昭和20年代の色あせた感じの画質が合っていてよかった。あんな家ってまだ残っているんだな。
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