新田次郎は好きな作家でいつも本棚を探してるのだが、あまり100円だと見かけない。
自分が手に入れたのは平成22年の第27刷。あれ、そんな昔からあった本なのか。時代小説の棚をチェックするようになったのは最近だからな。
時代小説9本を収録。どの作品も気象観測技術者だった新田次郎らしい、科学と技術で時代を先駆けた人々への想いを感じることのできる面白くて爽やかな傑作。
「梅雨将軍信長」(昭和39年 小説新潮)
気象予報士サムライが信長にアドバイスして桶狭間、長篠の合戦に勝利するというまさかの1本。本能寺の不吉な予言もする…という、ウソだろっ!?展開w
「鳥人伝」(昭和31年 オール読物)
生まれる時代を間違えた人の悲劇。哀れな男女に涙する。
「算士秘伝」(昭和32年 オール読物)
江戸時代の「和算」数学者たちは流派ごとに閉鎖的で、その知識が外部に知られることはまったくなかった。お家の名誉にかかわるような一匹狼数学者は命を狙われる…という、ウソだろっ!話パート2
これはドラマ化しても面白いかと思う。
「燈明堂物語」(昭和32年 講談倶楽部)
薩摩の軍船が航行するのを妨害するために、御前崎の灯台を消すように命じられた先祖代々灯台に灯をともす仕事に誇りを持ってきた人々と代官の闘い。
悲劇で終わるのか…と見せかけてハッピーエンド。老人たちは若者の恋を成就させるべきだなって話。これもドラマにするべき。
「時の日」(昭和36年 オール読物)
蘇我入鹿と中大兄皇子の日本最初の水時計「漏刻をめぐる争いを描く。気象観測エンジニアでもあった新田自身の権力者批判。
「二十一万石の数学者」(昭和38年 オール読物)
久留米藩主・有馬頼徸を描いた短編。この本の中で一番短い。「算士秘伝」と表裏をなす1本。江戸時代って進歩的な人がほんの一握りしかいなかったんだな。
「女人禁制」(昭和42年 小説現代)
大奥の勢力争いと意地の張り合いで、女人には禁じられていた富士山へ登る羽目になってしまった17歳少女の執念。これ、本当に新田次郎の作品か?って思うほどに軽いし笑いに満ちている。
広瀬すず、もしくは北野日奈子主演でドラマ化きぼんぬ。
「赤毛の司天台」(昭和42年 小説現代)
幕府内の勢力争いで「天気予報」もさせられる牛込の司天台、近所によく天気を当てられる浪人が住んでいるというので探ってみる…という話。空想と想像力による1本。これも脳内でドラマがいきいきとイメージできる。
「隠密海を渡る」(昭和35年~36年 週刊公論に連載)
この作品が一番長い。「絵島事件」を捜査側から想像を膨らませて書いた時代小説。陰謀とロマンス巨編w
離島を舞台に悪をあばく潜入捜査って「燃えよドラゴン」とか映画やドラマでよく見えるパターン。「TRICK」もこんな感じだな。江戸時代の流人制度は酷い。
いやあ、どの作品も新田次郎が自由に好き放題に書いていて爽快。
PS. なので、自分も「梅雨将軍信長」のドラマキャストを自由に欅坂で考えた。誰か、実現してくれないか。
- 平手左京亮 (平手友梨奈)
- 織田信長 (織田奈那)
- 佐久間信盛 (守屋茜)
- 林佐渡守 (渡邉理佐)
- 柴田勝家 (志田愛佳)
- 今川義元 (尾関梨香)
- 徳川家康 (米谷奈々未)
- 武田勝頼 (土生瑞穂)
- 明智光秀 (渡辺梨加)
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