2017年1月11日水曜日

市川崑 「天河伝説殺人事件」(1991)

市川崑監督による角川・金田一シリーズは5作しかない。少ない。となると、ファンの目は自然と「天河伝説殺人事件」へと向く。

内田康夫原作の浅見光彦シリーズを映画化した「天河伝説殺人事件」(1991 角川・東映・日本テレビ)をようやく重い腰を上げて見てみた。

誰もこの作品を話題にしていない。金田一ファンも、市川のファンも。おそらく、きっとつまらないからではないか?勝手にそう判断して今まで手に取ることがなかった。

東京都北区は以前から内田康夫と浅見光彦で町興ししようとしてたんじゃなかったっけ?だいぶ昔に北区西ヶ原の商店街でそんなのを見たことがある。

かつて市川金田一シリーズをヒットさせた面々が集結、90年代の探偵ニューヒーロー誕生を予感させたのだがそうなってないw

金田一でやってた市川の必殺パターンをそのまま踏襲したのに、なぜか面白くなってないw 冒頭の新宿西口モブシーンとか、交互に別ドラマを短いカット編集で見せるとか、とても市川崑らしさを感じる。

おそらく、「よし、わかった!」の加藤武には「金田一とそのまま同じことやって」と演出したとしか思えない。
こんなにバリバリ働く老刑事って実際のところいるの?って疑問に思ってみてると、「もうすぐ定年」って設定になってたw

うっかり光彦の警察でのひょうひょうとしたやりとりも石坂金田一を思い起こさせる。
だが、小林昭二とか常田富士男とか、いくら田舎警察でもあんなのんきなじいさんだらけなの?90年代初頭までは本当にああだったの?
スズメ密猟の件がまるまるカットしてもいいと思う酷いエピソード。映画は開始10分の見るものを引き込む説得力が大切。

この紀行ライターアマチュア探偵の兄が司法界の超エリートって設定が嫌。それを知ったとたんに周囲が「ははぁーっ」ってひれ伏すw これ、堤カントクが「TRICK」で散々バカにしてた水戸黄門的な日本村人たちw

このドラマ、能楽という芸能の家元・宗家内部の跡目争い殺人事件。日本人特有の家柄があって古くて由緒があって大きいものを「どうだ、すごいだろ!」って言ってるようで嫌w 雰囲気が先行。
これ1作のみで終了してしまったのは主人公・榎木孝明にとって不運だったのだが、榎木浅見、なんか不気味で嫌w 
この映画の失敗で、浅見光彦シリーズは映画でなく2時間ドラマで十分ってことがわかってしまった。市川崑って、晩年の作品はそれほど面白くない…。

能楽師・財前直見、あんまり美人に見えない。バブル芸人平野ノラそっくりw シーマでなく赤いMazda RX-7に乗って現れるw 時代はまさにバブル。
酒井敏也、斉藤洋介といったドラマでおなじみの面々の若き日の姿が見れて、そこは面白い。

0 件のコメント:

コメントを投稿