2017年1月24日火曜日

皇帝のかぎ煙草入れ(1942)

ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」(1942)の創元推理文庫(井上一夫訳)版(1961年初版の2005年の第51刷)がそこに108円であったので連れて帰った。
THE EMPEROR'S SNUFF-BOX, by John Dickson Carr 1942
海外ミステリの古典中の古典として知られる名作らしい。

この本も15歳ぐらいのとき手に取りかけたのだが未読だった。今年の夏は乱歩横溝を数冊読んで、さらに乱歩横溝に影響を与えたであろう海外の名作も読んだ。カーというミステリ作家は名前だけなんとなく知っていたけど、読むのは初めて。

離婚してフランスのリゾート地で独り暮らしの28歳資産家女性、狭い路地を挟んだ向かいの銀行勤めの息子と婚約。
婚約者家族と芝居から帰ってきた真夜中、部屋に元夫がよりを戻そうと侵入。
真向かいの部屋で婚約者の父が骨董趣味に没頭しているのだが、誤解を怖れて助けを求められない。
やがて、向かいの窓から父親が殺されているらしいことに気づく…、という話。

古臭いのかな?とそれほど期待せずに読み始めたのだが、なにこれ、面白い。ひと晩で読んでしまった。表紙絵からイメージしたのと内容が違う。

乱歩や横溝にでてくる女性は時代を感じることが多いのだが、この作品のヒロインは現代でも十分許容可能。序盤はなんだかドタバタ感がするw

後半はやや退屈したけど、ラスト付近のある一語で驚く。え?!ページを戻って確認する。ああ、そうか!

当時はアガサ・クリスティも絶賛したそうだが、このパターンは今となっては映画やドラマでみたことあるような気がする。なのでそれほど新鮮ということもなかった。犯人はたぶんこいつだな、ってなんとなく思ってた。

2 件のコメント:

  1. 川崎鶴見U2017年1月26日 17:36

    創元は残念乍ら短篇集以外はカーの名作の翻訳の殆どをハヤカワに取られてしまっているんです。
    実際に80あまりの作品の中で、「火刑法廷」「ユダの窓」「3つの棺」などの超代表作は全部ハヤカワで(カスも多いけど)、創元は「曲がった蝶番」「赤後家の殺人」以外はいきなりお勧めできないマニアックな作品ばかりです。「皇帝のかぎ煙草入れ」はH・M、フェル博士、バンコランの3大探偵が出てきません。乱歩の半端な褒め方が悪影響した見本のような作品です。カーでも例外的な作品なのに、長い間、乱歩のせいでこれが代表作とみなされて、カー人気が盛り上がらなかった原因になっていました。

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  2. え、これが代表作でないの?これで十分面白かったけど。

    創元とハヤカワはあんまり古本でみかけないので、オススメの作品はこれからも地道に探していこうかと。
    バンコランってパタリロ?!

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