2016年9月19日月曜日

長澤まさみ 「深呼吸の必要」(2004)

長澤まさみは「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004)を撮影しているのと同時期に、篠原哲雄監督による香里奈主演映画「深呼吸の必要」にも出演している。

香川県で薄幸の病弱ヒロインを演じる一方で、日に焼けないように注意しつつ沖縄の離島でさとうきびを刈るジャージ少女も演じていた。まさみが高1のころだな。

この作品以後、まさみと沖縄は深い縁で結ばれる。
まさみは離島と縁が深い。この年(2003年)には写真集撮影のために小笠原へも船で渡っている。

この離島での撮影はまさみにとってなかなかキツいものだったらしく、つい沖縄料理へと走ってしまったらしい。「セカチュー」の記者発表のときのまさみの顔はとても健康的w 行定監督は撮影中、お菓子がまさみの目に触れないように隠したというw
「深呼吸」はDVDが出た当時に見ているのだが、それ以来一度も見返していない。今回、見返した理由はまさみを確認することもあったけど、篠原監督、長谷川康夫脚本の「ターミナル」が予想外に佳作だったので、このコンビの作品をもう一度確認してみたかった。

離島に労働力として集った様々な事情を抱えた若者たちテラスハウスwのように期待されるかもしれないが恋愛要素はまったくない。
最初はみんな一定の距離をとっている。視線も会話も交わさない。このへん、リアル。

ざっくり言うと、都会の若者たちが離島でさとうきびを刈る風景と退屈なヒューマンドラマ。
主演の香里奈が今見ると、もうしわけないが、それほどかわいくないw スタイルはいいけど。

島に船が着くシーンから白ワンピ姿の暗~いまさみ登場w 軽トラで移動するシーンは誰もが「ロボコン」を連想w 
離島でさとうきび育ててるおじいとおばあが沖縄ステロタイプでちょっと興ざめ。
初日の歓迎の食卓はゴーヤーチャンプルーとテビチとラフテー、オリオンビール出しとけば内地の人は喜ぶさ~みたいなw 「なんくるないさ~」連発w おばあはことあるごとに「たくさん食べなさいよ~」って言うのが沖縄のデフォ?

この若者たちが初対面にしてもみんな黙々としすぎ。すこしはおばあに「うわぁ、美味しそ~♪」ぐらい言え!マトモに社交的なのは香里奈だけ。
オシャレ文句タレ女が間違っても来るところじゃない!金子さやかはこの時代よく見かけた女優。

美少女まさみがさとうきび刈りに来た理由が一瞬のカットだけで示される。この映画、説明しない。ドラマを理解するにはよそ見ができない。

医師・谷原の事情も写真1枚チラ見せだけで説明だが、これは最後のほうで独白説明シーンがある。
だが、脱走した二人が戻ってくる理由は説明がなさすぎで不明。
その一方で「雨、すごいね」とか、見りゃ分かるセリフがあったりする。

会話とか表情カットとか演出とか、作為的に感じて好きじゃなかった。
とくに成宮寛貴はキライでない俳優なのだがこの役柄にフィットしてなかった。

現場の先輩・大森南朋が仕事の説明するシーンはちょっと面白い。こんな人よく見るわ。真面目に教えてるつもりでも口ウルサすぎ。

悪い人ではないのだがひたすら鈍感で場の空気を凍らせる。先輩風吹かせっぷりがひどい。まさみと成宮のこいつへの不信感と嫌悪感がすごい。

日焼けは百害あって一利なしって話をしただけで「医学部とかめざしてたクチ?」とか論理回路がおかしい。
日本全国農繁期助っ人稼業を語るシーンでの「出会いと感動?」って語ってるフカシっぷりは、成宮じゃなくたって突っ込みたくなるわ。

この成宮と大森の相互不信軋轢シーンが長い。だがそれは嵐の夜のシーンへと繋がっていく。
ところどころで関心するけど、香里奈と谷原の深呼吸会話はいらなかったかも。
フィールドオブドリームスも自分としては要らなかった。
まさみは何も喋らない。表情に変化がない。そういう役なのでしかたがない。この映画で初めて長澤を見た人にはまさみの魅力はなにも伝わらなかったかもしれない。

ひとりで朝早く刈りに出かけるのって、どうなん?まさみのしてやったり笑顔、いる? あまり好きじゃないシーン。

まさみが一番スタイルがいい。すらっとした長身で顔がしゅっとしてる。
なぜかまさみは以後一度も篠原組からお呼びがかかってないな。ま、出なくていいけど。

離島の零細さとうきび農家のギリギリな現実も映像だけ察することができる。

さとうきびを刈る行為がマラソンランナーの孤独のようだった。終盤では毎日義務感から早起きして黙々と農作業へ出かけるシーンが繰り返される。こんな従業員だけが欲しい黒企業は多いだろうな。

クライマックスシーンも見ていて期待する爽快感が60%ぐらいまでしかない。まさみ目当ての人は見てみてもいい1本だが見なくてもいいw 12年経って世間から忘れられている。

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