人気女優を1日のみ撮影に使えるという条件で8分の短編を撮るという、作り手にとっても俳優にとっても大変な企画。
行き先も撮影スタッフのことも知らされず、ロケ車から降り立った夏帆が「えっ?!」ってぐらいに不安そうな少女。しかもノーメーク。
その場でスタッフ&出演者紹介。台本読みが始まる。こんな企画でも夏帆は真剣。とにかく不安だと何度も口にする。8分の作品だとしても女優としての仕事が残ることになる。出来上がりの全体像がまったく見えていないと出演者は不安なものなんだろう。
メークばっちりになったとたんに夏帆がきれいになってる。台本を読んでいるときの夏帆がプロフェッショナルの顔。そして撮影。日没まで焦ってシーンを撮る。仕事をがんばってる女性は美しい。夏帆、おとなになったねえ…。
で、この短編。大学4年になって初めて故郷・木更津に戻ってきた夏帆。なぜか入り江のバス停でなんとなく何かを待ってる様子。缶ビール飲みながら過ごしてる。そこに高校時代の同級生が自転車で通りかかる。そこに女友達も登場。即興っぽい感じもだしつつ3人で短い演技。
メーキングを見せられた後に本編。
夏帆が一体そこで何をしているのか?会話から推測するしかない。父とのことでそこにいるらしいけど、「親父さんのやつか?」とか言われても状況がよくわからない。「バス待ってたりする?」以降の「そんなことは知ってる」と、母からの電話では「知らなかったし」、見ていて混乱…。
だが、もう一度ちゃんとメーキングも見てストーリーの概略を頭にたたきこんでから2回目を見ていろいろ納得した。ああ、そういうことか。故郷を4年離れて変わったこと。好きだった彼の自転車の後ろの席には別の女、「バス待ってたりする?」はそういう意味もあるのか。
知ってることと知らなかったこと。もうバスは来ない。男には「知っている」「お父さんを待っている」、母には「知らなかった」「迎えに来て」って違うことを言う。二重の意味と嘘。女の強がり。違いがなかなか味わい深いけど、なぜ夏帆がそこで酒飲んでるのか前段を示してくれないと、1回見ただけじゃ意味解らないと思う。
男と会えるんじゃないかという期待のためだけに、あのバス停にいたのか?とも思った。男が自転車で通りかかるとき夏帆はちらっと見ている。だが、メーキングでは「そんなことは知っている!」のあとにバス停の時刻表のあたりを怪訝な感じで見るのでバスが来ないことを本当に知らなかったっぽい。となるとやっぱり偶然の再会か。
4年ぶりの帰郷で3年前のバス廃止は知らないと考えるのが普通。父の工場へ顔出して途中で抜けてきたのでバスの説明も受けてないはず。「そんなことは知ってる!」は嘘だったか。その直後に青いヒールだけ映すのは何で?
なんか、出演者と同じぐらい手探りで、理解することに悩んだし時間がかかった。
それにしても厳しい条件下で夏帆はすばらしい演技をしていた。最近、急に夏帆が好きになってきた。
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