日本映画界の名優ふたり、役所広司と小栗旬。沖田修一監督による2012年公開の映画「キツツキと雨」を見る。
「WOOD JOB!」よりも前に作られていた林業映画。臼田あさ美が出ているのと、ちょっと面白そうなので見てみる。
無骨な木こり役所広司の村に映画撮影隊がやってくる。映画監督小栗旬は役所にはダメスタッフだと思われている。すべてが暖簾に腕押し。
異文化の遭遇と世代間の摩擦。いろんなことがかみ合わない黙々と木を切る中高年男の悲哀…。
よりによってゾンビ映画にエキストラとして出演させられる。自分の仕事を差し置いて協力してるのに邪魔よばわりされたら、オレが役所ならアシスタントにブチ切れて現場をめちゃくちゃにして立ち去る。この撮影隊の無礼さとテキトーさには呆れる。スタッフも逃げ出す。映画の現場はこんなに酷いのか?
臼田あさ美は57分までまったく登場しない脇役。出演シーンもわずか。山崎努の演じる痔の大御所俳優のギリギリな感じが実際にありそうでおかしい。
監督より知識も経験もあるスタッフや役者を相手に映画を撮る25歳新人監督ってこんな目にあうんだな。
世代の違うもの同士がコミュニケーションをとることはこれほどまでに難しいことなんだな…と思いきや、やがてふたりは心が通じあう。役所は仕事を忘れて映画撮影に協力していく。悪すぎた現場の雰囲気がよくなっていく。いろんなことがうまく回りだす。
余韻をどう撮るのか注目してるとばっつり切って次のシーン。編集の妙味だと思った。説明っぽい台詞や画がなく、見ている人の想像にまかせる。
役所の無職息子が高良健吾。後に沖田修一と「横道世之介」という傑作を撮る。
地味だけど爽やかな余韻を残す、温かい気持ちになれる傑作。沖田修一はいい仕事してる。主題歌は星野源「フィルム」。
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