2014年10月6日月曜日

「物部氏の正体」を読んだ

古代史に関する本を以前よく読んでいたので、関裕二という人の本も何冊か読んでると思う。この人はよく見かける名前だ。関裕二「物部氏の正体」(新潮文庫 2006)がそこに108円であったのでいつものように気まぐれで手にとって読み出した。

古代史本のお約束、「記紀」が書かれた隠された意図、隠蔽しようとした何かを探りながら、最新の考古学的知識と矛盾しないように、古い神社の伝承だとか、コトバが似ているだとかを考慮しながら、パズルを大胆に当てはめていく。

著者がこの本で展開した持論はざっくりいうと「物部氏は吉備」だ。なんか、内容と結論がいろいろとぶっとんでいて読んでいて面白かった。

欽明天皇の時代に仏教をどうする?って蘇我と物部の間で議論した話がある。神道=天皇家なのに、仏教に反対したのが天皇家じゃなく物部って何かヘン、って所から話は始まる。

吉野裕子の本から「物部の祭祀を天皇家が踏襲している」、「物部の呪術は蛇信仰」という点を引用したり、物部が神武東征以前にヤマトに入っていたこと、出雲と吉備、纏向遺跡、前方後円墳の伝播、祭祀で使用される土器、当時の国際情勢、但馬の製鉄、石上神宮、邪馬台国、桃太郎伝説、イリ王朝やら河内王朝やら、古代史本のキーワードを回りくどく提示。
そういった古代史トピックがちょっとは知識としてないと、きっと早々に自分を見失う。何が言いたいのかよく分からないまま読み進めると、最後のほうで驚くべき結論がやってくる。

物部は関門海峡から吉備、播磨、難波の瀬戸内海を支配した大豪族。吉備から纏向のヤマト建国に参加。邪馬台国は九州の山門で、「トヨ=神功皇后」が卑弥呼の女王位を継承。

やがて物部に九州南部に追われたトヨ勢力が天孫降臨伝説になり、神功皇后の子・応神が九州南部からヤマトに入って、トヨの祟りを鎮めるために物部の祭祀を継承。物部は河内からヤマトを監視……。

ちょっとこの辺は複雑すぎて簡単にうまく説明できないけど、まあ、ぶっとんでる。そんな記憶を混ぜ込んで、物部の出自を消して、3人の初代王(神武、崇神、応神)を創造して書かれたのが日本書紀。

2 件のコメント:

  1. 関裕二は、文庫を見かけると買う確率が高いです。
    しかし、いつも聖徳太子の時代前後をウロウロしている人なので、新刊でも、既読感が激しく要注意です。

    TV見てたら、最近の歴史の授業は、ずいぶん内容が変わったらしい。
    聖徳太子も実在が怪しいとかで、教科書での扱いは低くなっているとか。
    年号の記述が変わって、私が覚えた暗記方法では通用しないのもありました。
    眉に唾つけて読んでいたけど。
    案外、学問の方が関裕二に近づいているようで、不思議です。

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  2. 「蘇我氏」と「藤原氏」も買おうか迷ってるw 安く買いたい。
    自分はぜんぜん年号とか覚えられなかった。なんであれだけ無関心だった日本史に今になって関心もってるのか、自分でも不思議だ。子どもには歴史はざっくりしかわからない。

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