小川未明童話集(新潮文庫版)がそこにあったので読んでみた。この人は明治時代から童話を書いている。代表作「赤い蝋燭と人魚」が新聞に発表されたのは大正10年(1921)。原敬首相が刺殺された年。
実は大人になって童話を読むのは初めて。子供のころであってもそんなに読んでない。「赤いろうそくと人魚」はタイトルは聞いたことあったので、「きっと知ってるかも」って読み始めたけど、ぜんぜん知らなかった。なんだか暗い話だ。
童話というものをどう読んでいいかわからず戸惑った。展開の予想がつかない。何が言いたいのかも分からない。大人でもわからないなら子供もわからないはず。それとも、わからなくてもかまわないのか……。
機関車に傷つけられたレールが花や月と会話をする。工場で生産された飴チョコ(キャラメル?)の箱に描かれた「天使」が会話をする。そんなことが起こるのが童話。こんな感じを長い間忘れていた。
自分としては「眠い町」「負傷した線路と月」「飴チョコの天使」あたりに詩を感じた。独特の眼差しを感じた。
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ブロガーさんのと同じ本も手元にあるのですが・・・
私が小川未明に魅かれたのは、わりと最近に、ちくま文庫で出た「小川未明集 幽霊船 文豪怪談傑作選」ですね。どこに置いたのか見つからないから細かいことはわからないけど、新潮社のと同じなのは「赤い蝋燭と人魚」だけで、あとはタイトルどおりに怪談集。冬の夜の日本海みたいな、ひたすら暗く淋しい耽美なダークファンタジーばかりだったです。
未明は小泉八雲の講義を受けたこともあるそうで、童話を書いても本質は根暗なロマンチストだったと思いますね。
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ああ、そういえば怖いってほどじゃないけど、不思議な話系な童話もあった。「金の輪」「島の暮れ方の話」「黒い人と赤いそり」は怪談と呼んでもいいかもしれない。
小川未明、根暗なロマンティスト、たぶんそのとおり。