さて、ツアーまで2週間を切ったのでこれからは、なるべく無理やりYUIの今までを回顧していく。まずはYUIファンなら誰でも1度は見たことがあるかもしれない「新宮海岸でなぜかワカメを採るYUI」について。
これは2005年のロッキン終了後故郷新宮へ里帰りしたときのロッキングオンH(2005年10月号)の取材の時のもの。まもなく上京後1年がたとうとしていた時期。この時撮影されたグラビアはなぜかこのカット以外どれも表情が固くお世辞にもカワイイとはいえないもの。まだかろうじて行く先に光が見え出した時期だけにまだ大人たちへの不信と苦労がにじみ出たような表情をしている。このYUIはかろうじて笑顔が素敵になっている。
ただ、インタビューはたいへんおもしろい。やはり大前多恵によるもの。
前に進むために、還る場所
間もなく上京1年を迎えるYUI、故郷・福岡、新宮の海で過ごす束の間の夏休みをドキュメント
暑い中、撮影お疲れさまでした。
「ありがとうございました。わざわざ遠いところまで」
いえいえ(笑)。新宮の海、すごくきれいでした。海にどんどん入って行ってワカメを採ったり(笑)、楽しそうでしたね。
「(笑)。新宮の海は久しぶりだったんで、懐かしいなあって」
YUIさん、ポロポロッと福岡の言葉が出てましたよね。やっぱり自然に?
「そうなんですよ。ヤバい!」
ヤバくないですよ、全然(笑)。リラックスしてるのかなあと。で、今回は夏休み特集なので、YUIさんの夏についてお話を聞きたいと思ってるんですが。夏はYUIさんにとってどういう季節ですか?
「すごく好きな季節です。テンションが上がりますね。なんか楽しいんですよね、過ごしやすいというか」
くよくよ悩まずに、やりたいことをやれる、っていうことですか?
「そうですね。『前に前に行っちゃう!』っていう感じがしますね」
夏の思い出で印象に残ってることってどういうことですか?
「放生会(ほうじょうや)っていう大きいお祭りですね。出店が出たりとか。毎年、それに行くのを楽しみにしていたっていう」
それは友達と一緒に?
「友達とか、親とか。小学生とか、そのもっと前から見てたお祭りだから。あと、天神からひと駅とか、そんなところにある神社の祭りがあって、そこでビアンコ(ネロ)さんがうたうってなって。それで私も1曲だけ、前座みたいにうたわせてもらって。ビアンコさんのメンバーのひとりの人と一緒にギター弾いて、コーラスつけてもらったりしながらうたった思い出があります。16(歳)だったと思いますね」
子供のころの思い出で、夏に絶対していたことってありますか?
「海に行ってたとか・・・・意味もなく遊びましたね。あんまり思い出せないですけど・・・・(笑)」
ちなみに夏休みの宿題は早くやるほうでしたか?
「ノートを新しく買ったみたいに最初は『やるぞ!』ってきれいに書いたりするんだけど、結局やらなくって。最後のほうになって、一生懸命書いたり。天気とかも全然書いてないから、勝手に書いて。結構、ダメな感じでしたね(笑)」
では、地元に「戻ってきた!」って感じる場所はどこですか?
「やっぱり、通っていた音楽塾だったりですかね。(仕事で戻ってくると)夜帰ってきて、朝東京に行くんで、めったに行くことはないんですけど。でも、嫌な思い出もあるし、いい思い出もあるし・・・複雑ですね(笑)。どっちもある。結構、おうち帰ったら、おうちでのんびりしてますね。でも、すごいお世話になった先輩だったり、仲いい友達だったり、たまに『がんばってね!』みたいなメールをくれたりすると、それはすごいうれしいですけど」
なるほど。じやあ逆に、福岡にずっといたときにはわからなかった福岡のよさとか、見えてくるものって、あったりしますか?
「それもありますね。あんまり「地元」って意識はしてなかったんですけど、逆に東京に出て、「あ、地元なんだなあ」って」
たとえばそれはどういう時に?
「言葉だったり。もちろん東京も、すごい好きなとこあったりするんで、どっちも好きなんですけど……」
福岡から戻ったばっかりのときの東京っていうのも、また、見え方が違ったりするんじゃないですか?
「でも、もしかしたら……ある意味で逆に、東京のほうが落ち着くかもしれない。東京ではずっと音楽をやってるんで、今は音楽だけ考えたいなあという気持ちが強いんで、『ほっとする』っていうよりは……(音楽を)やっていたいな、っていうところがあったりもしますね」
そういうふうに思うようになったのはいつ頃からですか?
「東京に住んで何カ月か経って東京に慣れてからかな……わからないんですけど、自分でも。音楽をつくったりとか、曲をつくったりすることに、すごく意味があるっていう感じですね。今の私は、今の時点では、音楽やってるほうが落ち着くかも。……うーん、なんていうか、いい曲ができたりすると、やっぱりすごい嬉しいじやないですか。それを一個一個やっていきたいなっていう感じなんですよね。それに集中したい」
ではこの夏、音楽以外で、東京でよくやってることはなんですか?
「うちでは本読んでることも多いんですよ。最近は『20世紀少年』とか」
ああ、面白いですよね。でも結構怖くないですか?
「怖いですか?(笑)。でも私は読みだしたら最後まで読みたいなあっていうのが強い人なんで。気になるなあ、って。いっぱいトリックみたいになってて、絵も面白いし。『NANA』とかも、5巻まで買って読んだんですけど、お金がなくって(笑)、まだ買えてないんで、これから読みたいです。あとは『ダ・ヴィンチ・コード』の上巻を読みました。芸術の話とかもたくさん出てきて、興味深くて。内容的にはちょっと、殺人系なので怖いのは怖いけど、絵のお話とか、『ああ、そんなのあるんだ!』っていろいろ知ることができたし」
いろいろ吸収するのが楽しい時期なのかな。「今年の夏、これだけはしたい」っていうアンケートの質問には「いろんなところに行ってみたい」。これはどういうところへ?
「夏というか、私自身がいつもすごい無計画で(笑)」
思いついたことを思い立ったときにパッパッとやるタイプ?
「はい。たとえば、御茶ノ水に行こうと思ったら行く、とか。楽器屋さんがたくさんあるって聞いたから行ってみたとか。カポとか、買わなきやいけないものがあったのもあったから、行ってみようかな、とかっていうのは多いですね。で、なんとなーくぷらぷらするとか。あんまりなにも考えてないです(笑)」
他にどこか、遠くへ旅行したいとかいう願望はないんですか?
「わからないですけど……でも、やってみたいことはたくさんあって。ライヴハウス回ってみたいとか、いろいろライヴ観たいとか、う-ん・・・・ま、いろいろ知リたいというのもあるしね、とりあえず」
どういうことを知りたいの?
「いろんなこと(笑)」
(笑)でも、お仕事も忙しいし休めないと思うんですね。そういう中で、いろんなことを知っていくのって、結構大変じやないですか?
「あ、でも、人と話してるだけでも、すごいいろいろと知ることできるし。あんまりお仕事と思ってないというか、結構マイペースに。きちんとする時はもちろんきちんとするんですけど、あんまり張りつめないように、『あんまり考えすぎんとこー』って思ってます」
PS.買いたいマンガがお金がなくて買えない・・とか普通の10代なんだなとほほえましいと思った。「音楽塾」に嫌な思い出があるっていうのもまあ当然だけどちょっと気になった。あと、随所に音楽の求道者的意見が見られる一方で女の子っぽい部分も見受けられる。ライブハウスへいっぱい行くというのはその後ずいぶんと達成できたようだ。いつかライブハウスでばったり出会うという僕自身の夢はいまだに達成されていない。
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