2010年6月25日金曜日

papyrus 2006.10 Vol.8 「ソングライターは現代の詩人である」

Papyrus_kishida_m
papyrus Vol.8 ( 2006年10月)幻冬舎 をふらっと立ち寄ったブックオフでたまたま発見し105円で手に入れた。特集「ソングライターは現代の詩人である」 を読むために。

岸田繁の詩作に関してのインタビューが読んでいて唸ってしまう。すばらしい詩を書く人はインタビューでも声に出して読んでみたいような発言をする。 

ファンの間で人気が高い曲「東京」ができたのは、お金がなくて公園で寝てマックで捨てられたものを食べて…というかなりひどい状況で書かれた曲ということを知った。(そういう状況を経験しないでいい曲が書けるわけがない!)

あと、「男の子と女の子」の今まで 自分的にいまひとつよくわかっていなかった部分も目からうろこが落ちるように良くわかった。うなってしまうインタビューだ。でも、岸田の作詞に関する深い考えは置いておいて、ここではYUIの作詞に関するインタビューを読んでみよう。
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ここでは現代を代表する詩人のひとりとしてYUIが登場。2006年の9月の段階で詩作に関してYUIは一目置かれる存在になっていたといえそうだ。木村由理江によるインタビューを以下引用
「たくさんの人を笑顔にできるような詩を書きたい」 
「気がついたらどこでもノートとシャーペンを出して詩を書いています。下手すると電車の中でも。目立たないように、他の人の邪魔にならないように、ですけど(笑)。こういう状況じゃなきや詩は書けない、というのは、ないですね」 
繊細さと骨太さを併せ持つ歌の世界に似て、YUI自身、体つきは華奢だが肝は据わっているようだ。湧き上がる衝動を、冷静さをもって受け止めている。 
昨年2月のデビュー以来、主に同世代のリスナーの共感と支持を集め、6月公開の話題の映画「タイヨウのうた」では初主演し、主題歌の「Good‐bye days」も手がけたYUI。
彼女が詩を書き始めたのは今からほぼ4年前の15歳の時。母親が子供の頃に詩を書いていたと知って、興味が湧いた。 
「小さい頃から歌が好きでいつも歌っていたんですよ。頭の中に入った歌詞をよく書き出したりもしていて。だから最初から何の違和感もなくすらすらと書けました。それ以来、日記的な感じで毎日ノートに詩を書いています」 
16歳でソングライティングを始めてからは、歌のための詩と日記的な詩を日々、書き綴ってきた。地元福岡のストリートで歌っていた日々、単身上京してからの日々の想いが詰まったノートが何冊も彼女の手元に残っている。 
今、その詩の内容が、少しずつ変わりつつあると言う。以前は自分のためにだけ詞を書いていたが、多くのリスナーを得て、その存在を意識するようになったからだ。 
「〝もがきながらも前に進んで行きたい〟と以前は歌っていたけれど、これからはたくさんの人を笑顔にできるような詩を書きたいし、音楽を作っていきたいと思うようになりました。今、こうやって歌えているのは本当に幸せでありがたいことだと思っているので、いろんなことを大切にしていきたいですね」 
頭の中はいつも言葉でいっぱい
〝大切にしたいいろんなこと〟の中には、聴き手、出会い、スタッフはもちろん、詩やメロディも入っている。  
「普段から頭の中にはごちやごちやと言葉がいっぱい入っていますね。こういうことはどう表現したらいいんだろうって、いつも考えています。人の会話を聞いていても、おもしろいなと思う単語や言い回しはすぐにノートにメモしたり。〝メモ魔〟ってよく言われます(笑)」 
たくさんの言葉が頭の中に溢れているからなのか、彼女は実に慎重に口を開いた。何度か、「限定したくないので」と口にした。また質問の言葉の強さに戸惑いを見せたり、「あとで考えた時に答えが違ったと思うことがないように一生懸命考えてみたんですけど」と話す場面もあった。 
吟味できる詩作の場面で、彼女がどれだけの熟考を重ねているかが伝わってきた。だからこそ使い古されたようなわかりやすい単語の組み合わせが彼女の詩の中では印象的に響き、光の当て方、その時の心の持ちようで幾通りにも受け取れもするのだろうし。 
「詩を書く時に心がけていることはたくさんあります。でもそれに言葉を当てはめていないら、具体的に言うのは難しいです。音楽とか言葉ってとても不思議で、聴く場所や状況で印象や伝わるものが変わるし、歌っていると、どんどんいろんなものがくっついてきたりする。だから意味をよく考えて、常にひとつひとつの言葉を大切にしています。メロディや響きを大事にしたり、素直に書いてもいきたいし……。目に見える景色、心に浮かぶ感覚を忘れないように葉で刻んでいけたらいいと思ってもいます」 
彼女にとって詩を書く作業とはどういうものかと、最後に訊くと、きっぱりとした答えがすぐに返ってきた。  
「試行錯誤と葛藤と模索ですね。いつも真剣です」

YUIはじっくり考えてからしゃべる人だ。緊張感が伝わってくる。若いのにプロだわ~。彼女の作詞のテクニックについてもっと知りたくなってきた。

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