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2017年7月17日月曜日

半藤一利「指揮官と参謀」(1992)

半藤一利の「指揮官と参謀 コンビの研究」という本をたまたまきまぐれで手に取った。
自分が手に入れたものは1992年文春文庫の2006年第9刷。108円でゲット。

昭和エリート軍人列伝とでもいうべき一冊。それぞれの陸士、陸大、海軍兵学校での成績から風貌、性格、エピソードをコンパクトにまとめた各章から構成。こういう本を探してた。

日本史教科書で重要人物もいれば、226事件本やガダルカナル、レイテ、インパール、サイパン、沖縄戦で知った名前もある。だが、まだ知らなかった人物たちも多かった。
タイトルこそ「コンビの研究」とあるけど、上手くいってない関係も多い。
  • 板垣征四郎と石原莞爾
  • 永田鉄山と小畑敏四郎
  • 河辺正三と牟田口廉也
  • 服部卓四郎と辻政信
  • 岡敬純と石川信吾
  • 永野修身と杉山元
  • 山本五十六と黒島亀人
  • 南雲忠一と草鹿龍之介
  • 東條英機と嶋田繁太郎
  • 小沢治三郎と栗田健男
  • 山下奉文と武藤章
  • 牛島満と長勇
  • 米内光政と井上成美
多くの将兵を死なせた指揮官として、それなりの最期を遂げた人物もいる中で、この本で書かれている多くのエリートたちは戦後も長く生きながらえていることを知った。意外だった。

沖縄戦には牛島満と長勇という司令官と参謀が登場するのだが、今回、八原博通大佐という人物の存在を知った。
第9師団を台湾防衛にとられやけっぱちの長に対し、長期持久戦に持ち込んだ八原。その作戦は適切に思われたのだが、沖縄の民間人15万人以上が盾となって犠牲となっている。一番悪いのは大本営だが沖縄戦の現地責任者のひとりとして断罪…。

山下奉文は今まで皇道派のリーダーだと思ってた。この本を読むとそれは間違ってたかもしれない。
インパール作戦といえば牟田口廉也だが、言い訳せずに黙ってればいいのに…って思った。
あと、服部と辻がA級戦犯指名されていないことが自分には今でも謎。

ミッドウェー海戦で、航空戦に不慣れな南雲が選ばれたのは海軍の悪しき伝統・ハンモック番号という考課システムのせいだった。

レイテ作戦の二人の提督・小沢治三郎と栗田健男にも半藤氏はインタビューしているそうだが、戦争については何も語らなかったという。小沢治三郎「早く消えたい…」

栗田健男はずっと洋上にあった人で、船を沈めることを嫌い戦闘回避傾向が高いと指摘。大事なところで報告を怠るという…、ちょっと変わった人だったらしい。
だが、将兵の命を無駄に消さなかった点で自分はむしろ好感を持ってしまった。自分が戦場に送られたら仕事してるフリはするけど逃げ回ると思うw

この本で一番ショックなのは最後に付け加えられた「天皇と大元帥」という章。昭和天皇の戦争責任については自分は今までほとんど考えたことがないのだが、ガダルカナル奪還やサイパン防衛について、昭和天皇はかなり戦況を心配して作戦に口を出していたことを知った。そしてその発言が後に決定的悲劇をまねいている…。

日本を終戦に導く努力をした海軍の米内光政と井上成美については阿川弘之の有名な本があるのでそのうち読もうと思う。陸軍と海軍の争いの醜さは異常。

PS. この本を読めば、乃木坂方面軍「桜井玲香と生駒里奈」、欅坂方面軍「菅井友香と守屋茜」といった現場指揮官コンビのことも見えてくるのでは?何か書けるのでは?と思ったのだが、彼女たちは人事、戦略には関わってないからな…。

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